データ価値を高めマーケティングの未来を切り拓く新ユニット始動
こんにちは、アドウェイズ広告事業本部です。
このnoteでは、私たちが日々取り組んでいる事業の内容や社員の働き方、そして私たちの想いについてお伝えします。
アドウェイズ広告事業本部は、「人」の創造力と「デジタルテクノロジー」を融合させ、本質的な広告価値を生み出し、広告主の課題解決およびマーケティング効果を最大化させ、持続的な成長を実現し続けています。
広告事業本部では2024年7月より、マーケティング戦略の策定や認知領域においての支援を行うマーケティングDivにて、生活者やマーケティングデータの分析と向き合う「R&Dユニット」を設立しました。
今回は、R&Dユニットの責任者の二人に、生活者データと向き合う中で生まれる課題、ユニット設立の背景、本質的なデータドリブンマーケティングに対する挑戦などを聞きました。
生活者データに対する向き合い
――まずは、デジタルマーケティングにおける、生活者データの重要性について教えて頂けますでしょうか?
平出 デジタルマーケティングにおける施策は、広告接触や成果など、オンライン上での行動を数値で測ることが可能です。そのため、数値の結果や変動に意識が持っていかれがちです。
しかし、マーケティング施策を行う以上、生活者とのコミュニケーションを「デザイン」することは大変重要なことです。
「誰」を対象に「どんな行動」を取ってほしいのかの原点に立ち返り、行動データの数値からは見えてこない生活者の「声」に耳を傾け、内面にはどのような欲求や本音を抱えているのかを注意深く観察し、考察することで、より生活者に寄り添ったマーケティングへ変化させていくことが可能になるからです。
つまり、生活者の声をしっかりと定量的、定性的に受け止めること自体が、お客様の事業成長に貢献するデジタルマーケティングにおいて重要なファクターであると考えています。
――広告事業本部としては、これまでどのように取り組んでこられたのでしょうか?
安岡 これまでも、生活者データと向き合う「リサーチャー」という職種は事業部内に存在しており、誰よりも生活者を理解した存在であることを心がけ、生活者の声を提案内容に反映させてきました。
主に競合コンペなどの提案時に、業種ごとの事業モデルに即した生活者の実態調査を行い、ターゲットの設定や、ターゲット層ごとに異なる本音や心情などの内面的な欲求に即した広告訴求の開発などを行い、定量や定性のデータエビデンスを提案内容に反映させ、生活者の声をお客様に伝えてきました。
――取り組みの中で感じられた課題を教えてください。
安岡 お話したように、これまでは提案の際にエビデンスデータを収集する目的で、生活者データを活用してきました。ただ、よりお客様の事業成長に伴走し、貢献する支援を実現したいと考えた際、提供価値として提案時のプランニングに集中しすぎてしまっているのではないかという課題が生まれました。
つまり、提案時だけでなく、マーケティング活動が進行している最中においても、より生活者の声に耳を傾け、変化に対応することで、お客様のお役に立てるのではないかと考えたんです。それゆえ、あらゆる局面でご相談頂けるよう、生活者やマーケティング施策のデータ調査を一つのソリューションとして切り出すことを考え始めるようになりました。
R&Dユニットの設立
――そういった課題への対応も考慮された上でR&Dユニットは設立されたのでしょうか?
平出 はい。安岡がお話したように、生活者データ調査をどのようなマーケティングのフェーズでも活用いただけるよう、一つのソリューションとして確立することを念頭に、ユニット設立を構想し始めました。
しかし、ユニット設立にむけて、これまで二つあった調査専門のチームを一つに束ねる必要がありました。
新規提案の為の調査を行うチームに加え、調査そのものを一つのパッケージとして販売したり、包括的なマーケティング支援の提案機会へと繋げるチームが別々に存在していたんです。つまり、同じ事業部内で職種におけるスキルは同じであるにも関わらず、組織のミッションを起点に分散してしまっていたのでした。これにより、知見やノウハウの共有、構築ができず、事業部全体として価値を最大化できていない状態にありました。
二つのチームは、違うミッションを持ち活動していた為、業務はほぼ同じような内容でも、醸成された文化や、向かっていくゴールやモチベーションも全く違っていました。それぞれのチームにはそれぞれの長所と特徴があり、長所を上手く融合する為には粘り強い調整が必要でした。
理想とするチーム設立の実現に向け、半年以上の時間をかけ関係者との協議を行いました。
――具体的にはどのような調整を行われたのでしょうか?
平出 上司や本部に対しては、生活者データに向き合う事の市場的な価値を何度もプレゼンさせてもらい、具体的なチームの構想や提供価値を伝えました。
所属することになる社員には、市場的な価値はもちろんのこと、広告事業本部の戦略の中での重要性や、スキルを高め価値を最大化していくことで生まれる社員それぞれのキャリアの成長性など、様々なメリットやビジョンを粘り強く伝え、少しづつ理解してもらうことで気持ちと組織としての方向性もまとめていきました。
――お客様や市場に対する提供価値を高める為、様々な調整の上でユニットを設立されたのですね。
R&Dユニットが取り組んでゆく“Research/調査”とはどのような内容になるのでしょうか?
平出 マーケティングのための情報収集アクションを総称して“Research/調査”と捉えており、外部の調査会社に委託して収集する生活者実態の定量データや定性インタビュー、ツールやWEB検索を活用して収集が可能なマーケティングデータなど、様々なデータの調査を行います。
しかし、データを集めるだけでは表層的な理解しかできず、マーケティング活動の戦略や施策の策定に影響する重要な判断に活用することは難しいため「どう読み解き」「どう理解するべきなのか」を考察し、収集したデータを的確な解釈と表現にすることで、マーケティング活動での活用価値を生み出しています。
――R&Dユニットが取り組んでゆく“Develop/開発”とはどのような内容になるのでしょうか?
平出 調査の話の振り返りからになりますが、データには定量による「傾向」の解釈と、傾向を解釈した上で考察する「因果」の概念が存在します。「因果」の考察においては、生活者の行動をストーリーとしてイメージする為、定性的なボイスをヒントにすることもあります。こういった「傾向」と「因果」の分析から開発できると考えているものが二つあります。
一つ目は新たなマーケティング戦略や手法の開発です。「傾向」と「因果」の分析から生活者とのコミュニケーションの再設計を行っていくことで、新たなマーケティング戦略や手法が開発できると考えています。
二つ目は新たな計測や解析手法の開発です。最近では、メディアやマーケティング手法も複雑化しており、全ての施策に対して同じような計測や解析の手法で分析することが難しくなっています。このような状況に対し、マーケティングファネル全体で整合性と納得性の得られる、本質的な計測や解析、分析や評価ができる新たな手法の開発を目指しています。
――R&Dユニットの目指す姿としてはどのようなチームとなるのでしょうか?
平出 データ利活用のプロ集団として、データの“Research/調査”から“Develop/開発”までを担い、最も生活者を理解した立場から、お客様の事業成長に伴走・貢献するマーケティング支援を実現したいと考えています。
『MARKETING DOC』とは?
――R&Dユニットの取組みを象徴するサービスはあるのでしょうか?
安岡 はい。5月にローンチした『MARKETING DOC』が、取り組みを象徴するサービスとなります。
――具体的にはどのようなサービスなのでしょうか?
平出 マーケティング施策の効果を総合的に把握し、改善するための指針を提供するサービスです。いわば、マーケティングの「健康診断」のようなもので、実施しているマーケティング施策が本当にターゲットユーザーに届いているのか、正しい方向に向かっているのかを確認するために活用いただけます。
市場には類似のサービスも存在しますが、多くの場合、診断を行って問題点だけを指摘することがほとんどです。『MARKETING DOC』では、診断を入り口として、問題を可視化し、その後の具体的な施策までしっかりと提案・実行を行っていきます。言い換えれば、マーケティング活動の健康診断から処方箋、さらには治療まで、すべてを一貫して提供することが可能です。
――具体的にお客様はどのような課題を解消できるのでしょうか?
平出 先ほどもお話したように、マーケティングにおける計測や分析は、生活者の価値観やメディア接触の変化、個人情報保護の促進により、複数の観点で複雑化しています。実際に起きている事象をあげるとすると、ターゲットとしている生活者の属性や状態に対する誤解や、それによって生じるコミュニケーションの不整合、オフラインメディアとオンラインメディアの計測手法や指標の違いから生じる施策評価の曖昧さ、オンラインメディアの相対の中でも本質的ではない広告評価の問題などが挙げられます。
こういった課題に対し、マーケティング活動全体を俯瞰的に診断することで複雑で不明瞭な部分を明瞭にし、納得性のあるマーケティング活動へ転換していくことが可能です。
――『MARKETING DOC』開発から提供までの取り組みでは、どんなことを行われてきたのでしょうか?
平出 『MARKETING DOC』の立ち上げは3名で進めてきました。サービスとしてのコンセプト開発から型化までを行い、提供開始にむけてクライアントに覚えてもらえるよう、ロゴも用意しました。販売に関しては、広告事業本部内の営業部門への啓蒙を通して協力を得ながら、様々な業種領域のお客様に対して提案活動を行っています。
――『MARKETING DOC』の開発から提供に至る取り組みの中で課題に感じられたことや悩まれたことがあれば教えてください。
平出 大きくいえば、二つあります。
一つに、社内での協力要請です。どのように営業部門の社員に提案の必要性や納得感を持って取り組んでもらえるのかを、非常に苦労して考えました。
また、社外への発信・提案も悩んだことの一つです。新しく立ち上げたソリューションであることと、これまで広告事業本部が提供してきたプロモーション領域のサービスではないため、活用のイメージを持ってもらうことが難しいと感じました。
――このような課題や悩みに対し、どのように乗り越えられたのでしょうか?
平出 社内での協力要請においては、説明の機会を増やし、このサービスが事業の未来にどのように繋がっていくのかを意識し、資料を用意した上で説明を行い、必要性を感じてもらえました。また、私自身も率先して営業活動を行い、ともに前線で取り組む姿勢を見せたことが功を奏したかもしれません。
社外への発信・提案においては、資料のクオリティを上げることを意識し、難しい内容に感じさせない工夫を図りました。特に資料デザインは理解度に強く影響すると考え、社内でデザイン監修を行っている部署に依頼して、ともにクオリティ向上を行ったことで視覚的に理解しやすい資料を制作することができました。お客様の理解度を上げられたことはもちろん、説明をする営業部門の社員にとってもより話しやすくなったと感じており、課題解決に繋がった一因であると感じています。
――ともに提案を行う社員や、提供されたお客様の反応を教えてください。
平出 事業部の多くの社員がこのサービスの魅力と意義を深く理解し「とても意義がある」という認識を持ってくれるようになりました。また、営業部門の社員も「これを提案することが、お客様のためになる」と感じ、前向きに動き出しています。おかげで、各部門のリーダーたちがこのサービスを積極的に提案するようになり、その成果も段々と表れています。
お客様からも『MARKETING DOC』を通して、これまでは感覚でしか把握できなかった施策効果が、数値として可視化されたり、狙っていくべきターゲットの解像度が上がり施策を検討しやすくなった、等のお声をいただいています。実際に診断から発見できた事例としては、「ユーザー定着の為に行っていた施策が、逆にユーザーを離れさせてしまっていた」ことに気付けたなどの声もいただき、提供したお客様には意義を感じて頂けているのではないかと思っています。
――『MARKETING DOC』の開発から提供に至る取り組みの中で嬉しかったことを教えてください。
平出 サービスとして形になるまで、開発当初から考えると2年半ほどかかり、お話したような苦労もありましたし、プロセスの中で孤軍奮闘のような状態になることもありました。そういったプロセスを乗り越えたからこそ、無事ローンチ出来た時は嬉しかったですね。しかし、本当の提供や課題解決はその先にある状態でしたので、「ここからが本番だ」と自分に言い聞かせ、早々に意識を切り替えて取り組みました。
提供していく中ではお客さまから、「広告代理店が能動的に調査を行い、フィードバックから施策の提案まで一貫した対応を行う姿勢が素晴らしい」とお褒め頂いた時もあります。これには、サービスのコンセプトそのものが受け入れられたと感じられ、嬉しかったです。本来、コンセプトとしている「健康診断」は、元々の医療の世界であれば、病院から促されて嬉しいものではないと感じる人もいるかもしれません。しかし、絶対的な正解のないマーケティングの世界だからこそ、まずは診断を行い、不安を取り除くことから始めることに意義があり、受け入れられるサービスなんだということに気付かされました。
――『MARKETING DOC』の今後の展望を教えてください。
平出 第一段階としては、生活者とマーケティングリサーチによるデータを主に活用するサービスとしてリリースしました。今後は広告接触やオンライン行動などのデータ拡張を行い、さらに精度を高めることで、よりお客様のマーケティング課題の解決が可能なサービスに成長させていく予定です。さらにその先では、可能な範囲でお客様が保有されるデータとの統合も行い、お客様とともに事業成長に寄与するデータ活用が実現できればと考えています。
本質的なデータドリブンマーケティングへの挑戦
――これからの挑戦として考えられていることを教えてください。
平出 まずは、データへの向き合いを組織全体の強みとするべく、将来、会社の歴史を担ったと言われるほどのプロジェクトに成長させられるよう、挑戦していきます。会社や広告事業本部としては、マーケティングにおける施策やプロモーションにおける強みも、お客様の事業成長を支援する為には、もちろん必要ですが、まずは、お客様のマーケティング課題に寄り添い、何が必要かを導き出せることが実は一番の強みになるのではないかとも考えられます。そういった意味でもデータ活用を組織全体の強みとして成長させていけたらと考えています。
また、これからの市場の動向を考えると、多様な価値観や生活の変化は進み、マーケティングにおける計測や分析、ビジネスにおけるデータの取扱いもより重要で複雑なものになっていくことが想定されます。
このような状況の中で、データを取り扱う職種の価値は高まっていると考えており、データを起点とした研究機関の設立やビジネス開発など、より大きなチャレンジの機会も訪れると思っていますので、臆することなく、大胆に挑戦していきたいと思います。
――広告事業本部としてマーケティングにおけるデータ活用をどのように考えられていますでしょうか?
平出 ビジネスやマーケティングにおけるデータ活用の重要性はお話してきた通りですし、私達だけではなく、広告事業本部全体としてお客様の事業成長を促すマーケティングパートナーでありたいと考えています。
しかし、お客さまのお客さまである生活者に対し、負荷がかかるようなデータ活用であっては、本質的ではないと考えます。こういった考えから、「生活者がしっかりと承諾を行い、便益がある形でデータを活用し、そのうえで事業主さまの成長に貢献する本質的なデータドリブンマーケティング」を開発し、実践、提唱していけたらと考えています。
――生活者のデータに向き合う挑戦が良く理解できました。
本日はありがとうございました。
アドウェイズ広告事業本部は、今後もお客様と共に成長を遂げることを目指し、デジタルマーケティングの最前線で挑戦を続けてまいります。今後の展開にご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。