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デジタル広告と向き合うデザイナーの理想と葛藤「変えていくこと」と「変えてはならないこと」を聞く

こんにちは、アドウェイズ広告事業本部です。

このnoteでは、私たちが日々取り組んでいる事業の内容や社員の働き方、そして私たちの想いについてお伝えします。 

アドウェイズ広告事業本部は、「人」の高い技術力・創造力と高度な「テクノロジー」を融合させ、本質的な広告価値を生み出すことで、広告主の課題解決およびマーケティング効果を増幅・最大化させ、持続的な成長を実現しております。広告効果を高めるために重要視していることが広告クリエイティブの制作です。

今回は、広告クリエイティブを制作するクリエイティブDivの現場責任者の2人に、インターネット広告のクリエイティブ制作においての価値基準や理想の状態、課題や障壁などを聞きました。


組織の沿革と変わらない想い

ーー現在、クリエイティブDivは100名以上の組織体制で運営されていますが、この体制に至るまでにはどのような経緯があったのでしょうか?

瀬川 クリエイティブDivの元となる組織が立ち上がったのは、静止画のクリエイティブ制作が主流だった2012年頃です。当時は、それぞれの事業部門内にデザイナーが在籍していて、属人的で制作管理体制が整っていない状態でした。

また、各種SNS広告などのプラットフォームタイプが主流ではなかった時代、出稿メディアも様々で、それぞれのお客様の要件に応じ広告制作を行っていました。領域を限定せず、社内で活用するクリエイティブも踏まえ流動的に制作を行っており、各部門それぞれにデザイナーが所属している状態の方が効率的だったんです。

しかし、SNSやディスプレイなどの運用型広告がインターネット広告の主流として拡大していった2013年頃から、広告クリエイティブ制作の需要も拡大、お客様のニーズに対応するため、広告出稿に特化したクリエイティブ制作部署を設立しました。2017年にスマートフォンの普及率拡大や4Gの浸透でSNS広告やディスプレイ広告が更に重視されるようになってきた背景もあり、さらに推進力を上げるために組織統合し、現在のクリエイティブDivの形になりました。

ーースマートフォン市場に向き合う中でニーズとともに拡大してきたのですね。クリエイティブ制作の展開が広がる中、大切にしてきた想いを教えて下さい。

瀬川 当初から「デザインの力で顧客課題の解決を行いたい」という想いを一貫して抱いてきました。インターネット広告市場が拡大する中、誤タップを誘導するような構図のクリエイティブや、ユーザーのデジタル行動が評価指標となることから、アテンション(注意)を惹くことでアクションを誘発させる広告が流行した時期もありましたが、「お客様のお客様であるユーザー」を欺いたり、不快感を与えるようでは、本質的に「デザインの力で顧客課題の解決を行っている」ことにはならないのではないかと考え、広告制作に向き合ってきました。

広告の本質は、お客様のサービスや商品が、どのように生活者の課題を解決できるかを伝えることだと考えています。デジタル広告指標の数値を高めることにはもちろん向き合っていますが、こういった本質を忘れてしまっては、デジタル広告そのものが生活者から疎まれる存在になってしまいます。

「生活者の共感を得て、行動を促すこと」この価値観がデジタル広告に求められていて、大前提となると私は思っています。この価値観はクリエイティブDiv発足から10年以上が経つ今までずっと変わらず、大切にしている想いです。

ーー拡大や変化の中でも、変えてはならないことはあるということですね。一方でデジタル広告の変化に対し、新たなニーズや潮流の中で「変えていかなければならないこと」にも対応されてきたとも思います。広告効果を高めるうえで、現在の組織体制はどのように機能しているのでしょうか?

山崎 現在の組織は、デザイナーやディレクターなどの「職種」ごとに分かれているのではなく、担当業種ごとにユニットを構成し、それぞれにディレクターやデザイナー、マネージャーが所属しています。これにより、各ジャンルに特化した知見がたまりやすく、営業担当や運用担当、制作担当と業種に寄り添ったワンチームでお客様の課題解決に取り組むことができます。

ただ、担当業種を重視し構成する横割り型組織と、職種(ディレクター・デザイナー)を区切り構成する縦割り型組織には、メリットとデメリットが存在すると考えています。横割り型組織では、あらゆる業種を得意とするオールマイティな人材の育成が難しいというデメリットが想定されたため、組織変更を考えた際には、「特定の業種領域の経験しか持たないことで、他業種のディレクターやデザイナーの事例を学ぶ機会が減り、業種間の情報共有が不足するのではないか。これにより組織全体の提供価値の品質を下げてしまうのではないか」という懸念がありました。

そのため、変更当初は勉強会や情報共有会を積極的に開催していました。現在は自発的に連携するようになったため、そのような機会を設ける必要はなくなってきましたが、様々なプロジェクト単位でユニット同士の交流を作り、各ユニットのディレクターがどのような活動をしているのかを把握し、専門性を保ちながらも業種間の情報共有を作ることで、バランスが取れているからです。

ーー広告効果を高めるため、柔軟に対応してきた結果、今の組織体制となっているのですね。

瀬川 はい。担当業種に特化したことで、広告効果の向上を図ることができたのではないかと感じています。

これまでの、職種で区切る縦割り型組織の場合、一人のディレクターがさまざまな業種ジャンルを深く掘り下げる必要がありました。しかし、担当業種を重視した横割り型の組織では各ユニットが特定のジャンルに集中することで、構築したナレッジやノウハウを展開しやすく、営業・運用チームとの連携も行いやすくなります。

実際に起こった動きとして、公営スポーツのサービスを担当するチームでは、サービス理解を深めるためにディレクターやデザイナーが営業や運用メンバーとともに、競技場に足を運んだこともありました。

また、ディレクターがお客様との会議に参加し、直接対話することでニーズを的確に把握することもできるようになりました。こうした動きは、お客様のブランドデザインポリシーや、レギュレーションを理解するためのスキームをユニット内で構築することに繋がり、コミュニケーションを円滑にさせ、より良い広告クリエイティブの制作向上に寄与することにも繋がっています。

このように、お客様との密な関係構築や業務に向き合う実体験を通し、結果としてより質の高い広告クリエイティブを生み出すことができています。

ーーその一方デジタル広告は、広告効果を最大化させるため、クリエイティブの制作量も比例して増加する傾向にあると思います。生産性についてはどのような変化があったのでしょうか? 

山崎 はい、生産性についても、組織改革により向上させることが出来ました。この要因は、大きく3つあると考えています。

一つ目にディレクターが担う担当業種ごとの広告の企画や、検証計画のノウハウが蓄積され、熟練化とともに生産性が向上すること。

二つ目にデザイナーが担う担当業種内での広告制作において、広告効果を高めるためのトレンドやTipsの反映が容易になり、制作量を高められること。

最後にマネージャーが担う担当業種間でのリソースの調整において、柔軟に調整できる体制を構築し、柔軟に調整を行っている点があります。

これらは、部署が一丸となって、インターネット広告のデザインによるお客様の課題解決に向き合ってきたからこそ、柔軟な連携と調整が可能になったと感じています。また、生産性についても、想定されるデメリットに対して解決策を常に講じてきたからこそ、克服することができたと考えています。

現状のデジタル広告クリエイティブの課題と対策

ーー冒頭で、組織設立以来から、変わらない想いがあると伺いました。一方で変わっていかなければならないこと、現状のデジタル広告クリエイティブの課題をお聞きしたいです。

瀬川 広告効果を向上させ続けるための「広告制作量の確保」と「広告配信データとの向き合い」、そして「広告コミュニケーションとして最適なデザインはなにか」という3点に課題を感じています。

デジタル広告の効果を高めるためのPDCAでは、配信量と比例する効果の落ち込みを踏まえ、多くのクリエイティブを制作し検証するチャレンジを行わなければなりません。そのうえで広告効果を高めていくためには、検証結果の数値に向き合う必要もあります。

また、広告効果を担保しつつ、ブランド棄損しないようにするため、変化する生活者の価値観や社会的風潮の中で、良質かつ良好なコミュニケーションを図ることが求められています。

この重要な2つの要素を同時に叶えることは容易ではなく、時には葛藤もありますが、お客様からのご要望、ご意向を理解し、重視するポイントの選択やバランスの調整も行いながら、お客様の事業成長への貢献と生活者に好まれる広告体験の構築という2点の両立した実現に向け、広告制作に向き合っています。

具体的には、以下の5つの取り組みを推進しています。

1. 量を担保するための体制整理

アドウェイズが自社開発した動画クリエイティブ自動生成ツール「dobel」と、BPO拠点である「アドウェイズ・フロンティア」と連携し、大量の動画クリエイティブを制作できる体制を整えています。これにより、必要な量を確保することが可能になります。

2.  広告効果を高めるためのデータ活用

 大量の配信データを「Creative Analyzer」というツールを活用し分析します。案件や媒体ごとの傾向を把握し、仮説に基づいて次のアクションに繋げることで、広告効果を改善します。

3.  マーケティング全体のコミュニケーション方針や戦略の理解

営業部署と連携しながら、ディレクターを中心に担当するサービスのビジネス要件を考慮し、策定されるコミュニケーション方針・マーケティング戦略の理解やプランニングに取り組んでいます。

4.  SNSを筆頭とした多様な配信面への最適化

 クリエイティブDivには、主要なSNSを筆頭に、配信面や配信フォーマットのトレンドを分析する専門チームが存在しています。このチームは、特定の媒体での成功パターンや最新のクリエイティブ情報を全体に共有し、広告制作の視点で、広告効果を向上させるためのアプローチを行っています。

5. ブランドやサービスのデザインポリシーの遵守

ブランドの価値を損なわずに広告クリエイティブを制作し、変化の激しい生活者の価値観と整合性を合わせてコミュニケーションを行うことは、年々重要かつ困難となりつつあります。私たちは、生活者の価値観や社会的な風潮を敏感に察知しながら、担当するサービスごとのトーン&マナーのリファレンス集、特有のルールなどの言語化されたレギュレーションを構築し、厳守することを徹底しています。

山崎 「お客様から言われたもの」を作るだけでは、広告効果を向上させ、事業成長に貢献し、生活者との最適なコミュニケーションをデザインすることはできません。主体的にお客様のサービスやポリシーを理解することはもちろんのこと、社会的な価値観の変化や生活者ニーズ、メディア接触の変化に敏感であることで、「広告デザインでの顧客課題の解決」を実現しようと考えています。

※配信面への最適化取り組み一例(UGCトレンドを月一回の頻度で資料化、広告展開に活用)

ーー顧客課題の解決」を実現するため、積極的に変わっていく覚悟があるということですね。短期的な成果を出すことも求められる身としては葛藤もあるのではないでしょうか?

瀬川 そうですね、正直なところ葛藤はあります。
例えば、かつては、動画クリエイティブの冒頭でアテンションを引くことが視聴数を伸ばすポイントとされ、5秒の視聴を重視した「アテンション重視」な考え方がありました。しかし最近では、たとえUGC(ユーザー生成コンテンツ)風のクリエイティブであっても、冒頭にブランドロゴを配置することで安心感を与え、結果的に広告効果を向上させる事例も増えてきています。

このような気付きを踏まえ進化しながらも、私たちは本質を欠いたクリエイティブ制作には陥らないように、常に意識をするよう心がけています。急速に変化するインターネット広告の世界では、価値観も変わりやすく、「アテンション=悪」とは一概には言えません。そのため、柔軟に対応することが求められます。

根本的には、広告の本質である「そのサービスや商品が生活者の生活をどう良くするのか」をしっかりと伝えていくことが重要です。媒体ごとの特性を理解し、それに応じたクリエイティブを作り分けることも求められます。そういう意味でも、私たちにとって日々の変化の中で、毎日が挑戦の連続です。

重複しますが、クリエイティブDivには「デザインの力で顧客課題の解決を行う」という大きな目的があります。ブランドセーフティ、ビューアビリティ、アドフラウドなどのアドベリフィケーション、公序良俗はもちろんのこと、価値観の違いによって生まれる炎上対策やソーシャルグッドな観点にも配慮しながら、生活者にとって有益なセレンディピティを生む、質の高い広告クリエイティブを提案できるパートナーシップを目指しています。

クリエイティブDivが描くデジタル広告クリエイティブの未来

ーー先ほど伺った課題感と対応も含め、今後のデジタル広告クリエイティブ領域はどう変化していくと思いますか?

瀬川 今後のインターネット広告のクリエイティブ制作は、AIツールの活用により大きく変貌を遂げていくことが考えられます。テキスト、画像、動画など、様々なクリエイティブの生成においてAIが活用されることで、広告効果の向上や、今まで以上に多様な効果検証も可能になります。また、インターネット広告はデータやロジックに基づく側面が強く、積極的に活用することは必須です。

しかし、数字の相関だけではなく、実際に広告を目にする生活者の視点に立ち、広告クリエイティブの誘導や、広告が与える作用を考えていくことも重要です。こういった分析を活用し、成果の可視化、言語化が必要になる場合には「なぜこのクリエイティブに価値があるのか」といった問いへの答えもすぐさま提示できる力が大切になるでしょう。

加えて、広告制作領域においてもプロンプトエンジニアやAI活用クリエイターなどの、いわゆる「AIフレンドリー」な人材も重要になってきています。左脳的な分析や最適化する制作作業はAIに任せつつ、生活者やブランド、サービスに対する配慮を持った判断や企画は人間が担っていく。人と機械の役割分担が進むことで、より共感を得た上で行動を促す広告制作が可能になると期待しています。

ーー理想像や未来像を踏まえ、今後クリエイティブDivでは「お客様の事業成長に貢献するマーケティングの実現」「広告デザインでの顧客課題の解決」に向けて、どう向き合っていくのでしょうか?

山崎 クリエイティブDivでは、今後は主に以下の3点に重点を置き、広告制作に向き合っていきます。

・テクノロジーの進化と活用

クリエイティブ制作における様々な場面で生成AIを活用するため、開発部門と連携し、新しいソリューションの開発に取り組んでいます。また、生成AI専任のクリエイターも在籍しているので、最新技術を検証し、制作現場で活用していくことを目指しています。

・生活者やメディアの多様化への対応

今後デジタルメディアは、リテールメディアやOTT(※)のさらなる普及など、プログラマティック化も含めて多様化していくことが考えられます。また、生活の中でのデジタル浸透が進むことで、生活者のメディア接触態度もさらに変容していくでしょう。その中で、私たちの強みとして、業種や配信媒体に特化したクリエイターがいることで、様々な観点から本質的な広告のあり方と広告効果についてのディスカッションをより活発に行うことができると考えています。そういったディスカッションから効果が高く生活者に受け入れられやすい広告の制作、サービスと生活者のコミュニケーションデザインを踏まえた広告制作を目指します。

※OTT:Over The Topの略称で、インターネット回線を通じてコンテンツを配信するストリーミングサービスを指す。

・SNSマーケティングの変容

これまでも注力してきたSNSにおけるマーケティングですが、生活者のSNSとの距離感や関係性も踏まえ、さらに変容していくことも考えられます。
UGC・縦型・横型のショートドラマクリエイティブ、今までと少し違った形でのインフルエンサーマーケティングの出現など、これまでと違った形での広告配信面やフォーマットの活用があるかもしれません。そういったトレンドも敏感に察知し、充分に分析を行った上で広告でも活用できるものは活用していきたいと考えています。


新しいサービスのリリースや技術革新、生活者のメディア接触の変化も多く、めまぐるしく変わるインターネット広告市場の中で、今後も様々な具体的な課題が生まれることが想定されます。
そういった未来においても、お客様の課題を広告デザインで解決し、事業成長に貢献できる組織を目指し、データドリブンな効果追求と人間らしさに配慮したコミュニケーションデザインを両立させ、変わらない想いを叶えるために変わっていく覚悟を持って、「温故知新」の精神でインターネット広告の理想の姿の実現に取り組んでまいります。

――本日はありがとうございました。


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アドウェイズ広告事業本部は、今後もクライアントと共に成長を遂げることを目指し、デジタルマーケティングの最前線で挑戦を続けてまいります。今後の展開にご期待ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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